うぐいす娘 2
そしてあくる朝。
庭に出てあたりを見まわすと、向うの林の中に小屋がありました。
このとき、娘が現われて、
「わたしはあの小屋に行ってきますから、わたしが出てくるまで、小屋の戸を決してあけないで下さい」
といいました。
娘はスタスタと小屋の中にはいって行きました。
男は一人になって、急にさびしくなりました。
「あの娘はあの小屋でいったい何をするのじゃろ。戸をあくんなというたばって、ちょっとのぞいてみよう。」
そこで男は小屋に近寄って、入口の戸をそっとあけてみました。
「あっ。」
小屋の中には梅の木が一本生えていました。梅の木のてっぺんに、うぐいすが一羽とまって、
「ホウ、ホケキョウ」
と鳴いていました。娘の姿はどこにも見当りません。
「きたいやなあ。さっきの娘はどこに行ったうかい。」
不思議でたまらぬ男は、また外へ出てあたりを見まわしました。すると、さっきの娘が現われて、
「おまえさんはまこて情のない人や。わたしはじつはうぐいすです。人間になる修業をしていました。
おまえさんとぜひいっしょになろうと思って、小屋の中で今せっかく修業をしていましたのに」
といかにも残念そうにいうのでした。
男はあっけにとられて娘を見ていました。
ところが、娘の姿がふっと消えました。そして、どこからか、
ホウ、ホケキョウ
ホウ、ホケキョウ
と美しい鳴き声が聞こえてきました。
男はあわててあたりを見まわしましたが、もうどこにも、うぐいすの姿はありませんでした。
そして不思議なことに、男がとまった家もさっきの小屋もなくなって、あたりは広い野原になっていましたとさ。
屋久島ツアーの民話、「うぐいす娘」でした。